フィリピン滞在記 授業編1

【1】
「あなたはリーダーになりたいか?」「あなたは成功したいか?」「あなたは歴史に名前を残したいか?」と妙に薄っぺらい質問がテキストには多いです。こういう質問を書く人に会ってみたいものです。そして問いたい。
「あなたはリーダーになれましたか? あなたは成功しましたか? あなたの名前は歴史に残ると思いますか?」

【2】
「ハービー、どうして男の人は彼女がいてもキャバクラに行くのかしら? 嘘をついてまで」
「僕、キャバクラに興味ないので分からないです」
先生は明らかに質問する相手を間違えています。
「じゃあ、女の人がウソをつく理由は分かるかしら?」
「僕、女じゃないので女の人の気持ちは分かりません」
深くため息をついた後、先生は物憂げにこう言いました。
「女の子は愛されていないと感じると、ウソをつくのよ」
「へー」
軽く70キロはありそうな先生を眺めながら、僕はまた世界の真実をひとつ知ってしまったのでした。

【3】
一日に50回以上、「イェー」と言ってる気がします。自分でも何かヘンな感じだけど、「イエス」と言わなくても通じてラクなので、ついつい返事が「イェー」になるわけです。これ多分、海外あるあるのひとつだと思います。

【4】
「休みの日は何やってるの?」
「うーん、特には」
「と言っても何かしてるでしょ?」
「あー、それなら考えてます」
「…は?」
「考えてますね」
「考えてるだけ?」
「考えてるだけです」
「…それって変じゃない?」
「何か変ですかね?」
「絶対に、変です」
どうやら休日に考え事をするのは、変なことらしい。

【5】
グループ授業の一環で、「韓国人男性と付き合ってる日本人女性が、卒業後の遠距離恋愛に悩んでいる」というお題が出ました。僕としてはまったく普通に「毎週末、韓国に行けばいいと思います。月に四回で20万くらいだから、給料すべて突っ込めば問題ないです。足りない時は貯金で」と答えたけど、周囲の反応は「なんて非常識な!」みたいな顔でした。いまだにどの辺が非常識だったのか分かりません。
あるいは「早く別れた方がいいですよ」とストレートに言った方がよかったのかもしれませんね。

【6】
発音の先生が妙に日本びいきで、何かしら「日本はいい、日本製品もすばらしい」と言う人で、これは僕がシャーペンをなくして、後から見つかったときの話。
「なくしたは日本製のペンなんだろう? きっと高価なものにちがいない。もっとよく探すんだ!」と僕以上に熱心に探してくれて、結局シャーペンはノートに挟まっていたというオチ。あまりにも氏が協力的だったので、見つかったペンについて図を描いて説明しました。

「これはオートローテーション機構を備えたシャーペンで、いつも芯の先端が尖った状態に保たれるんです」
「うわああ、それはすごい! 僕も欲しい。けれど…、とても高いのだろうし、それはまたフィリピンのどこにも売っていないに違いない」と先生。
日本ではコンビニでも買えるクルトガで、こんな反応をされると、こそばゆくなります。お土産にクルトガ渡したら、おそらく身悶えして喜ぶと思います。「これもらっちゃっていいの? ほんとに!? ほんとに? やったー!!」みたいな。

【7】
授業では「どこか海外に行ったことある?」というのがよく話題に上ります。「フィリピンで20カ国目です」と答えると、「私はこれまで一度も海外に行ったことがない」と、やや恨めしそうに返されるパターンが多いです。
それで「いつか海外に行ける日が来ると思いますよ」と慰めるわけですが、先生も自爆しそうな質問なんてしなけりゃいいのにー。

【8】
マンツーマンの授業で、ふとホワイトボードを見ると、「Harbie cute guy」と書いてあります。「何すか、これ?」と先生に訊いてみたところ、「台湾の女の子がラクガキしていったよ」とのこと。しかし台湾人に知り合いはいません。
「ちょっと分かんないんですけど…。誰ですか?」
「その子は週末帰国したから、もう会えないよ」
「ふぅん?」
と冷静を装った返事をしたものの、男の先生の授業だったからホッとしました。
ちなみに落書きには人物画らしきものが添えてありましたが、どう見てもその描き手はキュートの何たるかが分かっていない感じでした。がんばれ台湾!

【9】
何かの話題で、「僕はブラックジョークが好きです」と答えたところ、「ブラックジョークって何?」とマジな顔で先生に詰められました。ヤバい、ブラックという単語が地雷だったようです。
「えーと、あまり上品ではない冗談のことです」
「それはグリーンジョークと言います」
ブラックジョークは好きだけど、誰かを故意に傷つけたいわけではないです。ごめんなさい。しかしブラックジョークの好きな人間が、ブラックネタで冷や汗をかく図は面白いですね。

【10】
「私は努力して今の職を手に入れたし、今も努力しているし、前向きな気持ちも失っていない。しかしこの国でどうやったら成功できるのか分からない。教えて欲しい」と先生に質問されました。ちなみに先生の月給は2万ほどです。真剣な表情で質問されたので、僕もまじめに考えたんだけど、答えられませんでした。正直なところ、ふつうのフィリピン人がフィリピンで成功するのは、ほぼ不可能だと思います。
いや、でも先生は英語できるから、ネットを使って何かできそうな気もしてきた。たとえばエキサイトセブ!の英語版とか出してみるとか。


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