COOL JAPAN TOKYO-CONFERENCE(@TOKYO DESIGNERS WEEK 2010)

昨日(11月2日)は、東京デザイナーズウィークのクールジャパンカンファレンスに行ってきました。

まずは自転車で青山まで。お、これは超高級電気自動車テスラの直営店ですね。

イチョウ並木を通って会場へ。今年の天気はクレイジーだったので、葉っぱが色づいてません。

第一部 COOL JAPAN TOKYOクリエイティブ・フォーラム

最初に松岡正剛さん(Web的には「千夜千冊」で有名ですね)の基調講演。

「日本人はネガティブな要素にも美を見出してきた。たとえば『はかない』は、『はかどらない』が転じたものだ。また、『あはれ』からは『あっぱれ』が生まれた。このような土壌の日本なのだから、クールジャパンだけでは足りず、ホットジャパンも含めてクールジャパンとしなければ、それはおかしいだろう」といった内容。

あとは、「掛け算してから引き算すると日本風になる」といったことなど。

セッション1 クール・ジャパンを生み出す日本のソフトパワー

デジハリの杉山知之さん。

「ネットが普及し始めた1995年くらいから、海外で日本のコンテンツが改めて注目されるようになった。それまで自国のコンテンツだと思っていたものが、じつは日本産だということに、外国人たちがネットを通して気づかされたためだ」

ファッション・ジャーナリストの生駒芳子さん。

「イギリスでクールブリタニアが謳われた1997年当時、現地の彼らは産業界を中心に実に緻密な戦略を立て、巧妙に振る舞った。そして世界はイギリスの策略に引っかかった。我々にも戦略が必要だろう。特にファッション業界は歯がゆい。誇張でも何でもなく、現在の日本のファッションレベルは世界一。各国のトップデザイナーたちはキャットストリートを頻繁に訪れ、口々に賛辞を並べ立てる。しかし現実に世界のファッション産業界を牽引しているのは、日本の服飾メーカーではなく海外ブランドなのだ。我々には戦略が欠けている」

ご存知アート・ディレクターの佐藤可士和さん。シャッターを切る人、多数。

「日本には優秀なクリエイターが沢山いて、すぐれたコンテンツも少なくない。しかし世界に売り込むためのコンテクストを持っていない。よって我々はまずコンテクストを見極め、文脈に則したアプローチを考えねばならない。また我々は、『外国人に日本モノがウケている』ことは知っているが、『何がフックになって彼らにウケているのか』は知らないのだ。まずはそこを探ることから始める必要があるだろう」

基調講演と最初のセッションが終わり、いったん小休憩。

会場脇のブースでジャイルス・ピーターソンさんを発見。

セッション2 クール・ジャパンを支える日本のものづくり

フェラーリのデザインなどで有名な奥山清行さん。

「正直イタリアのデザイナーのレベルはそんなに高くない。しかしクライアントのレベルは高い。このためプロダクトの品質が向上している。モノ作りの現場において、クライアントの果たす役割は小さくない。また、イタリアでは現場の職人たちが製作の主導権を握っているが、このことも品質向上に寄与している。うまく職人たちの意欲を引き出しているとも言える。さいわいにも日本の一部の生産現場では、やはり職人たちがイニシアチブを握っている。彼らを活かすことは、日本の武器になるだろう」

数奇屋建築で有名な中村義明さん。

「ひとくちに杉といっても、秋田杉もあれば吉野杉、日田杉など様々。建築家が図面を引いて『ここに杉を使う』といった注意書きを添えるだけでは、まるで意味がない。薄っぺらい記号のように素材は扱われるべきではないのだ。しかし現実にはそういった人間が増えている。これでは衰退する」

色んなところで委員として引っ張りだこの鈴木一義さん。

「和魂和才で勝負するべきだろう。日本はモノマネ文化として揶揄されることが多いが、たとえば電気炊飯器をモノマネだと言う声は聞かれない。なぜなら日本の食文化の中から自然に生まれたものだからだ。このようなものを発掘し、海外に展開することが重要になるだろう」

建築家の隅研吾さん。

モデレーター役をキッチリこなしていました。

十和田市現代美術館の小林央子さん。カンファレンス全体の司会を担当。

「ブラックロックシューター」を「ブラックシューターちゃん」と言い間違えてましたが、全体的にGJ!

セッション3 日本のライフスタイルとクール・ジャパン

東南アジアで農業を展開している木内博一さん。

「日本の農業の強みは、工業が強いこと。そして知らず知らず近隣と切磋琢磨するところにある」

WIRED CAFEなどを営む楠本修二郎さん。

「その日本の強い工業だが、かつては農業出身者が多かったと聞く」

日本の食文化を海外展開しているハリー・チェンさん。

「日本のライフスタイルを広めるには、食を入り口にするのが近道ではないか。食にはライフスタイルが織り込まれている」

セッション4 日本がクール・ジャパンであり続けるためには

A.T.カーニーの梅澤高明さん。こちらもモデレーター役をキッチリこなしていました。

演出家の鴻上尚史さん。

「日本のコンテンツを発信するにはプロデューサーが絶対に必要。海外ウケするようなコンテンツをクリエイターのヘソを曲げないように作ってもらう、そんなプロデューサーだ」

東洋文化研究者のアレックス・カーさん。

「外国人から見た日本のよさは、日本人が見捨てているものの中にこそ多くある。そして日本人はまだその価値に気づいていない」

ご存知ダニー・チューさん。この日はブラックロックシューターのねんどろいどを壇上に置いてました。
「日本のアニメに代表されるポップカルチャーに対する海外からの需要は高い。しかし法的インフラが整っておらず、毎年膨大な機会損失がつづけいている。早急な法的整備に期待する」

イラストレーターの池田学さん。

予定外の壇上への呼び出しで、わたわたしながら朴訥にトークを展開。いい味を出してました。

第二部 あなたのCOOL JAPAN

ご存知、茂木健一郎さん。身振りが激しくて、トーク中の写真は全部ボケました…。

生で見るのは初めてでしたが、テンションの高さと気転の速さがハンパなかったです。漫画の話に絡めて萌えキャラ化された日本鬼子を絶賛したり、クールジャパンを盛り上げるには「クールジャパンの盛り上げに尽力するアイドルを秋元さんがプロデュース」するのがいいのではないかと提案したり。

秋元康さん。急にカメラを構える人たちが増えました。

「企画書の時代はもう古い。やりたければ先にやってしまえばいい。スーザン・ボイルの登場は示唆的だ」、「納豆から粘り気や臭みを消しては、それはもはや納豆ではない。そのままの納豆(日本のコンテンツ)を海外に受け入れられるように売り出す方法を考える必要がある」などなど、大御所らしく鋭い意見を連発。

チームラボの猪子寿之さん。飄々としていてコメントが実にトンガってて最高!

「真面目すぎる。学生なんだし、もっとメチャクチャやればいい。それに面白い動画はYouTubeやニコニコ動画にたくさんあるんだから、まんまパクって自分たちのものとして出すとか、てきとうに組み合わせてMAD動画としてアップすべき」(日本紹介CM「my japan」のプレゼンに対して)

「新聞だけでなく全部マンガになっちゃえばいい。むしろ全部マンガにしよう。教科書もマンガにした方がいいし、注意書きもマンガにした方がいいし、今日のこの台本もまたマンガにした方がいい。デザインと言えばピクトグラムもヒトコマ漫画にしたらいい」(Web漫画新聞「漫画の新聞」のプレゼンに対して)

「大阪を売りたいなら笑いがいい。最初から最後までボケ倒してみてはどうか。自販機のボタンに『痛ッ!』と言わせてみたり、自動改札を通ると『まいど!』と言われるとか。電車内アナウンスもマジメにやる必要はない。『次は新大阪~、新大阪にまもなく到着。…いたしません』とか。要するに大阪全体を笑いのディズニーランドにしてしまえばいいのではないか」(ポップカルチャーで大阪の観光地化を考えているKansai Creative Factoryのプレゼンに対して)

「上澄みだけを売る戦略にはヘドが出る。たとえばジャンプの『ONE PIECE』は、ひとりで描き上げられているわけではない。何人もの優秀なアシスタントが付いている。そのアシスタントの実質的な供給源はコミケだったりする。仮に政府がコミケでのエロを規制すれば、最終的には上澄みの文化も死ぬだろう。ギャル文化もしかりだ。歌舞伎町や道玄坂の歓楽街から生まれてきている。歓楽街を取り締まれば、ギャルたちによるポップカルチャーも壊滅的な打撃を受けざるを得ない。クールジャパンを売るなら、クールジャパンの本当の源も知るべきだろう」

Dezeenの編集長マーカス・フェアーズさん。

Googleの画像検索で「Japan」と「Cool Japan」を入力した結果を画面に表示させるという、じつに鮮やかな手法で「外から見た日本」と「フツーに考えられてるCool Japan」を可視化。この検索結果をどのようなものに変化させたいか、それが今後の戦略を練る上でのキーになるでしょう、と。

無料のカクテルを2杯いただいて会場を後にします。お土産は入り口でもらったモレスキンのメモ帳。…この手帳わるくはないんですが、せっかくクールジャパンなので、世界的に見ても異常な進化を遂げている日本の文具メーカーの方がよかったと思います。KOKUYOとかPILOTとかTOMBOWとかの。まあ例のごとく、日本人が国内文具界の変態的なレベルの高さに気づいていないだけかもしれません。

さて、7時間ほぼぶっ通しのカンファレンスでしたが、まったく退屈せずに過ごせました。政財官民が協力し合って、何とか日本を復活させようとする全体的な熱気がヤバかったです。事実上のキックオフに参加できてホント有意義でした。発足したばかりのクールジャパン室には今後期待します。というか、これがコケたら日本はいよいよ危機的な状況に陥りますから、期待せざるを得ません。

それにしても経済産業省はマジですね。大マジも大マジ。日本最強のプロデューサー秋元康氏と、日本最強のアートディレクター佐藤可士和氏を招いている時点で、その本気度が分かります。動くのが遅いような気もしますが、それはいつものことなのでヨシとします。考えてみれば、官側が危機感を募らせていることだけでも大前進です。この危機感を日本全体でシェアして、ベクトルをひとつに収束できれば、ひょっとするとひょっとするかもしれませんヨ。

その他

このエントリ内の発言は個人的にメモったものなので、ヘンに解釈してたり、場合によっては発言者が違っている可能性があります。正確な内容を確認したい場合、下記URLでカンファレンスの動画を閲覧できるので、そちらをご覧ください。

http://www.ustream.tv/channel/cj-conference
2010/11/2「COOL JAPAN TOKYO-CONFERENCE」第二部まとめ


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  1. […] COOL JAPAN TOKYO-CONFERENCE(@TOKYO DESIGNERS WEEK 2010) – FAMASAK…2010/11/10 している木内博一さん。 「日本の農業の強みは、工業が強いこと。そして知らず知らず近隣と切磋琢磨するところにあ […]



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