マーチン・ヤクボスキーのGVCSと50種類の機械リスト

ポーランド生まれのマーチン・ヤクボスキー(Marcin Jakubowski)が考案したGVCS(Global Village Construction Set)のアイディアは非常にユニークです。彼の考えは、オープンソースの理念をハードウェアに適用させ、50種類の土台となる機械を選び、それらの設計方法を幅広く共有しようとするものです。50種類の機械は、いわば「文明のスターターキット」とでも呼べそうな代物で、これを揃えたら発展途上国のように工業地盤が弱かったり無かったりする国でも、使いこなすことでそれなりの生活水準まで引き上げることができます(少なくとも国力を高め、貧困からの脱却口にはなるでしょう)。

ヤクボスキーの考えに賛同した人たちはOpen Source Ecologyに集い、現在までに数種類の機械のプロトタイプを完成させています。工業先進国にはちょっとした打撃かもしれませんが、ともかく発想のカッコよさにしびれます。理念もいいですけど、「文明のスターターキット」をたった50種類の機械に集約させるなんて、相当ブッ飛んでます!

ちなみにヤクボスキー氏の経歴もユニークで、核融合エネルギーの分野で博士号を取得するものの適性がないと自ら判断して、ミズーリ州で農家になるものの苦い経験を味わいます。そしてこのふたつの経験からGVCSの着想を得るのでした。二度の挫折から立ち上がるのもなかなか熱いです。TEDで配信されている動画(日本語字幕つき)もあるので、どんな人なのか知りたい人は見てみるといいかも。

さて、GVCSにおける50種類の機械は、以下の10個の方針に基づいて設計されています。訳はフィーリングです。

  • オープンソース(Open Source)
  • 低コスト(Low-Cost)
  • モジュール化(Modular)
  • 実用的(User-Serviceable)
  • DIY(DIY)
  • 自立製造(Closed Loop Manufacturing)
  • 高パフォーマンス(High Performance)
  • 柔軟性のある製作(Flexible Fabrication)
  • 分配経済(Distributive Economics)
  • 産業効率(Industrial Efficiency)
  • 50種類の機械は、以下のような構成になっています(実際は49種類がリスト化されていて、残る1つは募集中となっています。いくつかの機械がすでに提案されています)。詳細や機械の画像を見てみたい場合には、こちらこちら(アルファベット順)のページでご確認ください。

  • 3Dプリンタ(3d Printer)
  • 3Dスキャナ(3d Scanner)
  • 50kWの風力発電(50 kW Wind Turbine)
  • アルミ製錬機(Aluminum Extractor from Clay)
  • パワーショベル(Backhoe)
  • 製パン用オーブン(Bakery Oven)
  • 干草圧縮機(Baler)
  • バイオプラスチック押出機(Bioplastic Extruder)
  • ブルドーザー(Bulldozer)
  • レンガ製造機(CEB Press)
  • コンクリートミキサー(Cement Mixer)
  • 木材加工機(Chipper/Hammermill)
  • 電気回路生産用CNC(CNC Circuit Mill)
  • 多目的旋盤CNC(CNC Precision Multimachine)
  • 精度金属部品生産用CNC(CNC Torch/Router Table)
  • 搾乳機(Dairy Milker)
  • 製材機(Dimensional Sawmill)
  • 電気モーター(Electric Motor/Generator)
  • ガスバーナー(Gasifier Burner)
  • 干草カッター(Hay Cutter)
  • 干草精製機(Hay Rake)
  • 水力モーター(Hydraulic Motors)
  • 炉(Induction Furnace)
  • 産業ロボット(Industrial Robot)
  • 鉄工用機器(Ironworker Machine)
  • レーザーカッター(Laser Cutter)
  • 集光器(Linear Solar Concentrator)
  • 金属圧延機(Metal Rolling)
  • 小型コンバイン(Microcombine)
  • 小型トラクター(Microtractor)
  • 蒸気機関(Modern Steam Engine)
  • ニッケル電池(Nickel Iron Batteries)
  • 自動車(Open Source Automobile)
  • トラック(Open Source Truck)
  • 溶接機(Open Source Welder)
  • 造粒機(Pelletizer)
  • プラズマカッター(Plasma Cutter)
  • 発電装置(Power Cube)
  • 鍛造機(Press Forge)
  • 粉砕機(Rod and Wire Mill)
  • 耕運機(Rototiller and Soil Pulverizer)
  • 苗用掘削機(Spader)
  • 蒸気発生装置(Steam Generator)
  • トラクター(Tractor)
  • 切削機(Trencher)
  • 電源装置(Universal Power Supply (UPS))
  • ローター(Universal Rotor)
  • 種まき機(Universal Seeder)
  • 穴掘り機(Well-Drilling Rig)
  • 意外にもハイテク機器がけっこう並んでいます。とりあえずオープンソース化により誰でも一から作れるという話ですけど…。製パン用オーブンや干草関連の機器は、お国柄が出てる感じがしますね。いくつか機能的に被っているように思われる機械があるので、リストはもうちょっと圧縮できそうな気もします。でも叩き台としては十分捕捉できてると思われます。そもそもこのようなアイディアは、これまで世の中に存在していなかったんですから。


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